最近スーパーやベーカリーでもよく見かける「全粒粉」
「体に良さそうだけど、小麦粉と何が違うの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今日は、全粒粉の特徴から栄養価、小麦粉との違いまで分かりやすく解説していきたいと思います。
全粒粉とは?
全粒粉(ぜんりゅうふん)は、小麦の粒をまるごと挽いて粉にしたものです。
通常の小麦粉(薄力粉・中力粉・強力粉)は小麦の「胚乳」部分のみを使用していますが、
全粒粉は
- 表皮(ふすま)
- 胚芽
- 胚乳
このすべてを含んでいます。
そのため色は白くなく茶褐色。
粒子はやや粗めで、香ばしい風味と独特のざらついた食感が特徴になります。
【小麦粉と全粒粉の違い】
項目 | 小麦粉(薄力粉・強力粉) | 全粒粉 |
---|---|---|
原料部分 | 胚乳のみ | 表皮・胚芽・胚乳すべて |
色 | 白色 | 茶褐色 |
風味・食感 | クセが少なくなめらか | 香ばしくざらつきがある |
栄養価 | 食物繊維・ミネラル少なめ | 食物繊維・ミネラル豊富 |
主な用途 | パン・ケーキ・麺 | パン・焼き菓子・シリアルなど |
グルテンの違いとパン作りへの影響
小麦粉(特に強力粉)はグルテンのもととなる「グリアジン」「グルテニン」を豊富に含んでおり、
水を加えてこねるとグルテンが形成されます。
このおかげでパンがふっくら膨らみ、もちもちした食感に仕上がります。
一方で全粒粉にもグルテンは含まれますが、表皮や胚芽が混ざっているためグルテンが形成されにくくなります。
その結果、全粒粉100%でパンを作ると
- 膨らみにくい
- 生地がまとまりにくい
- やや固めの食感
といった特徴のパンになります。
下の表を見るとたんぱく質の含有量は全粒粉の方が多いのですが、パンを作る工程で形成されるグルテンは小麦粉の方が多くなるということですね。
【全粒粉と小麦粉の栄養価の比較表(100gあたり)】
項目 | 全粒粉 | 小麦粉(薄力粉) |
---|---|---|
エネルギー | 320kcal | 349kcal |
たんぱく質 | 12.8g | 8.3g |
脂質 | 2.9g | 1.5g |
炭水化物 | 68.2g | 75.8g |
糖質 | 57.0g | 73.3g |
食物繊維 | 11.2g | 2.5g |
ビタミンB1 | 0.34mg | 0.11mg |
カリウム | 330mg | 110mg |
鉄 | 3.1mg | 0.5mg |
マグネシウム | 140mg | 12mg |
主な違いと特徴
食物繊維が豊富
全粒粉は小麦粉の約4倍以上の食物繊維を含みます。
食物繊維は腸内環境の改善や便秘予防、さらに血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。
ビタミン・ミネラルが多い
- ビタミンB群(特にB1、B2、B6)
- 鉄
- カリウム
- マグネシウム
全粒粉は、胚芽・表皮も含まれているので、これらの栄養素が豊富です。
小麦粉は精製時に表皮・胚芽が取り除かれるため、栄養価がかなり減少します。
たんぱく質も多め
全粒粉はたんぱく質も多く含み、筋肉作りや美容にもプラスに働きます。
カロリー・糖質は控えめ
全粒粉はカロリー・糖質がやや低め。
さらに血糖値の上昇が緩やかな低GI食品としても注目されています。
まとめ
全粒粉は、栄養価の高さが最大の魅力です。
最近は「全粒粉入りパン」や「全粒粉ビスケット」など、健康志向の商品も増えていますし、
クセが気にならない人や、健康・美容・ダイエット志向の方におすすめです。
ですが、
グルテンフリーな食材ではないので注意が必要です。
セリアック病や小麦アレルギーの方はもちろん摂取してはいけないですし、グルテン過敏症な方も摂取量には気を付けたほうがいいかもしれません。
また、健康な人にとっては必ずしもグルテンを控える必要はないと思っていますので、健康や美容のために全粒粉入りの商品を試してみてはいかがでしょうか。